2020年6月29日2 分

欲しいものはいつだって遠くにある

欲しいものの距離

欲しいものは実際より近くにあるように感じる

「砂漠で遭難していたらオアシスがあるのを見つけた。

近くにあると思えたオアシスにはどれだけ歩いても辿り着かない。」

物語に出てきそうな例え話のメカニズムを進化心理学から分析したらどのような結果になるのでしょうか?

以下の説明は蜃気楼という現象があることを踏まえた上での進化心理学的な話になります。

例えば、1km先に動物を見つけるとします。

遠いと判断して諦めるか、近いと判断して狩りに出発するか選択を迫られます。

もし個体が獲物は3km先にあると勘違いをしたとすると、獲物を追うのを諦めてしまう可能性が高くなります。

しかし、獲物は300m先にあると勘違いをした場合は諦めずに獲物を目指して出発する可能性が高いでしょう。

ヒトは欲しいものの距離を過小評価してしまう傾向があります。

これはつまり、生存競争を勝ち抜いてきた個体とは欲しいものの距離を過小評価して諦めずに手に入れようとした個体ということです。

ある研究では、お手玉をギフトカードめがけて投げるという実験をしました。

すると、ギフトカードが$0の時と比べて$25の時にはお手玉は手前に落ちる傾向がありました。

これは、ヒトが欲しいものをより近くにあると感じているというバイアスが働いている証拠と言えます。

輪投げをする際は、思ったより少し遠くを目指すとうまくいくのかもしれません。

参考文献:

Balcetis, E., & Dunning, D. (2010).Wishful seeing: More desired objects are seen as closer. Psychological Science, 21 (1), 147-152. https://doi.org/10.1177/0956797609356283