top of page

ダイエットにデルブーフ錯視は役立つのか?

食事とデルブーフ錯視


空腹状態がデルブーフ錯視に影響を及ぼすか調べた2018年の研究
空腹は食べ物に関連した刺激に対する錯覚バイアスを減少させることが判明
「小さな皿で食べると食事量が減る」というダイエット法に疑問を呈する結果

皆さんはダイエットをする時に、「小さなお皿で食べると、食べ物が大きく見えるからダイエットに効果的!」ということを言われたことはありませんか?


これは、デルブーフ錯視という錯視を利用するものです。


空腹状態がデルブーフ錯視に影響を及ぼすか調べた2018年の研究から、ダイエットに上記の方法が役立つのかについて考えてみましょう。


まず、デルブーフ錯視についてですが、実験に使われた錯視の内容としては同じ大きさの物体が異なるサイズの円に囲まれている時、大きい方の円に囲まれている物体を小さく感じてしまうというものです(気になる方は「デルブーフ錯視」で検索してください!)。


実験では囲まれる刺激に食べ物に関連した刺激とそうでない刺激を用いました。


結果としては、空腹は食べ物に関連した刺激に対する錯覚バイアスを減少させるが、中立的な刺激に対しては減少させないことが判明しました。


つまり、ダイエットのようにお腹がそもそも空いている人は、錯覚に陥らずに比較的正確に食べ物の大きさを認識しているので、冒頭の方法は役に立たない可能性があるというわけです。


もちろん、ダイエットの場合には少ない食べ物を摂取しようとするモチベーションが高かったり、自分で食品を選んで食べるなど、この研究では扱われなかった変数がたくさん含まれているので、この研究だけをもってして、「小さなお皿で食べると、食べ物が大きく見えるからダイエットに効果的!」と考えるのは間違いということはできませんが(現実場面では同じサイズの食べ物が異なるサイズのお皿に置かれてるというデルブーフ錯視のような状況はそもそも起こらないかもしれません)、少なくともデルブーフ錯視はお腹が空いた人が食べ物を見る時には減少するという結果は重要な知見でしょう。


錯視の効果は常に一定ではなく、知覚者の状態によって変化するのです。


参考文献:


Zitron-Emanuel, N., & Ganel, T. (2018). Food deprivation reduces the susceptibility to size-contrast illusions. Appetite, 128, 138-144.

bottom of page