危険性についての学習
ロサンゼルスに住む子どもとアマゾン地域に住む子どもは動物による脅威が大きく異なるが、どちらの集団の子どもももフィードバックを受けず1回の試行で動物の危険性を学ぶ
ある危険性を学びやすいかどうかは祖先の環境に依存するということ
都会に住んでいるとなかなか動物が危険だということを学ぶ機会はありませんが、都会に住む人と自然の中に住む人たちは危険な動物に対して異なる反応を示すのでしょうか?
普通に考えると、自然の中に住む人はそうでない人に比べて危険な動物を学習しやすいと考えられますが、私たちの心は祖先の環境で大きく形作られてきたという進化心理学の予測だとそうではないでしょう。
2012年の研究から「ロサンゼルスに住む子どもとアマゾン地域に住む子どもは動物による脅威が大きく異なるが、どちらの集団の子どももフィードバックを受けず1回の試行で動物の危険性を学ぶ」ということがわかりました。
ここでいうフィードバックとは、「この動物は安全ですか、それとも危険ですか?」や「この動物は植物や動物を食べますか?」などと聞かれただけで、正解を子どもたちは知らなかったということです。
興味深いことに、動物の名前や何を食べるかという情報はすぐに消えてしまいました。
これは「ある危険性を学びやすいかどうかは祖先の環境に依存するということ」を意味しています。
現代人は確かに動物の脅威に怯え続ける必要はありませんが、私たちの心は祖先の環境に長い時間対応してきたので、祖先の環境で脅威だった情報はすぐに学べるということです。
参考文献:
Barrett, H. C., & Broesch, J. (2012). Prepared social learning about dangerous animals in children. Evolution and Human Behavior, 33(5), 499-508.
Comments