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壊れやすい友情

家族と友情の違い


血縁関係は友情とは異なる
18ヶ月間の学生の追跡調査によると、血縁関係と比較して友情の感情強度は接触頻度の減少や一緒に行われる活動数の減少により敏感であった
友情を維持するコストは血縁者との関係を維持するコストよりもはるかに高いことを示唆

高校の時に一生の友情を誓い合った仲でも大学へ進学したり、社会人になったりすると疎遠になってしまう。


というような経験はないでしょうか?


なぜ、友情を維持することは難しいのでしょうか?


血縁関係との比較から考えてみましょう。


そもそも、「血縁関係は友情とは異なる」ということは進化心理学的には当然のことです。


なぜなら、血縁者は自分とある程度の割合で同じ遺伝子を共有しているからです。


つまり、血縁者に多少のコストを払っても協力することは即座に(遺伝子的に)自分の為になるのです。


しかし、友情はそうではありません。


友人に同じようなコストを払って協力をしても、その見返りが帰ってくるには協力のお返しや評判を期待しなければいけないのです。


端的に言えば、家族との関係は直接遺伝子の利益になりますが、友人との関係は遺伝子にとっては間接的な利益にしかならないということです。


「18ヶ月間の学生の追跡調査によると、血縁関係と比較して友情の感情強度は接触頻度の減少や一緒に行われる活動数の減少により敏感であった」ということが2011年の研究からわかっています。


これは、友人関係は結局のところ接触頻度が少なくなったり、一緒にすることが減ってしまうと壊れやすいということです。


この結果は「友情を維持するコストは血縁者との関係を維持するコストよりもはるかに高い」ことも示唆しています。


友情の意義が協力関係にあるとするのなら、この結果は納得なのではないでしょうか?


参考文献:


Roberts, S. G., & Dunbar, R. I. (2011). The costs of family and friends: an 18-month longitudinal study of relationship maintenance and decay. Evolution and Human Behavior, 32(3), 186-197.

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