ヘドニック・トレッドミルとは?
幸福感は時間の経過とともに元のレベルに戻る
「幸せになりたい」誰もがそう思って生きているのではないでしょうか?
しかし、どうやら我々は幸せになるようには作られていないようです。
例えば、宝くじに当たった人は幸せを感じるでしょうか?
確かに、宝くじに当たれば幸福感は高まります。
しかし、問題はその幸福感はすぐに消えてしまうということです。
ある研究では宝くじに当たった人と事故で麻痺が残った人の幸福感を比較しました。
すると、宝くじに当たった人はその時は幸福感が高まり、事故にあった人はその時は幸福感が低くなります。
しかし、時間が経過するにつれて幸福感は元のレベルに戻っていったのです。
なぜなら、宝くじに当たった人は日々の小さな幸せを感じにくくなり、麻痺が残った人は日々の小さな幸せを噛みしめるようになったからです。
ここで疑問が残るのは、なぜ幸福感は元のレベルに戻るのでしょうか?
人が幸せになるために生まれてきたのなら、宝くじが当たったという喜びはなぜ消えてしまうのでしょうか?
それは、ある瞬間の幸せをずっと感じることができるような個体は淘汰されてきたからです。
例えば、一回の狩りが成功したことを何ヶ月も何年も喜んでいるようでは集団に貢献したのは最初だけということになります。
そのような個体よりは、狩りの喜びに浸りすぎず、狩りを続けることで集団に貢献する個体が好まれます。
多くの子孫を残したいというオスの形質は1人の子どもを育てて満足してるようなオスの形質より多く受け継がれることになります。
進化は永続的な幸せを感じる個体を淘汰してきたのでしょう。
参考文献:
Brickman, P., Coates, D., & Janoff-Bulman, R. (1978). Lottery winners and accident victims: Is happiness relative?Journal of Personality and Social Psychology, 36(8), 917–927.https://doi.org/10.1037/0022-3514.36.8.917
Kováč L. (2012). The biology of happiness. Chasing pleasure and human destiny.EMBO reports,13(4), 297–302. https://doi.org/10.1038/embor.2012.26
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