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罰があるから協力する!?

罰と協力行動の関係


公共財ゲームでは罰があれば協力行動が増え、罰が無くなれば協力行動は減る

心理学系・経済学系の研究者が人間の心理・行動を分析する際に好んで用いる実験の1つに「公共財ゲーム」があります。


研究内容によってルールにはバリエーションがあるのですが、基本的なルールは以下のものになります。


  1. 複数人の参加者が一定の所持金を持っている

  2. 参加者は所持金から一定の金額を「公共財」として投入する

  3. 「公共財」から一定の金額が参加者に平等に分配される


例えば、4人の参加者(所持金は200円)で公共財ゲーム(投入額の40%が配当される)を行い、2人が100円ずつ「公共財」として投入したとします。


すると、投入された合計金額200円の40%、80円が全員に分配されます。


「公共財」に投資した人は100円を投入したのに80円しか返ってこなかったので、20円の損になりますが、何もしなかった人は80円の得になります。


公共財ゲームの面白いところは、全員が協力すれば全員が必ず得をするという点です。


例えば、全員が200円を投入すれば、合計金額800円の40%、320円が毎セッション返ってくるので、320円ー200円=120円が得になるわけです。


従来の心理学が提唱するように、人が協力行動を当然のようにするのであれば、公共財ゲームでは多くの参加者が協力するはずです。


しかし、実際の研究では、そうはならないことがわかっています。


コストを払わずに利益を得ようとする「フリーライダー」の存在があるからです。


公共財ゲームでは「フリーライダー」、つまり"タダ乗り"をする人が得をしてしまうのです。


現実の世界でも、フリーライダーが得をすることは多くあります。


固定給であれば、仕事をあまりしない人の方が得をしますし、指摘されない限りは税金は払わない人の方が得をします。


では、どうすればヒトは協力をするのでしょうか?


研究からわかっていることは、「罰」があるとヒトは協力するようです。


例えば、公共財ゲームであれば、セッション終了後に全員の投資額が公開され、自分の所持金をいくらか犠牲にすれば、相手の所持金をある程度減らせるというルールを追加します。


2002年に行われた研究で分かっていることは、「罰あり条件」からスタートしても、「罰なし条件」からスタートしても罰がある状況では協力行動が増え(公共財が増える)、罰が無い状況では協力行動が減る(公共財が減る)ということです。


働かない人が減給されたり、税金を払わない人が追徴課税を課されたりというような「罰」は他者を騙し、欺き、自己の利益を最大限にしようとするヒトの社会において協力行動を増やすのに役立つというわけです。


参考文献:


Fehr, E., & Gächter, S. (2002). Altruistic punishment in humans. Nature, 415(6868), 137–140. https://doi.org/10.1038/415137a

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