top of page

坊主憎けりゃ袈裟まで憎い

拡大する疾病回避動機


感染症は生存を脅かす為、それを回避するような動機が必要(嫌悪感)
感染症の兆候がある人が使用した道具を使用する意欲は低い
感染症を避ける為には、その人だけでなくその人に関連する物まで避けようとする動機がヒトにはある

坊主憎けりゃ袈裟まで憎いということわざがあります。


これは、その人が憎ければ、その人に関連する物まですべて憎いという意味で使われます。


これと似たようなことが、疾病回避動機です。


街中で咳をした人が目の前から歩いてくると、なんとなく避けたい気持ちになりませんか?


そんなの当たり前じゃん!と思うかもしれませんが、進化心理学が注目するのはそんな“当たり前”のヒトの心理なのです。


みんなが当たり前に抱く感情は進化の中で生存か繁殖に役立ってきた感情だと進化心理学は説明します。


例えば、病気になると命に関わることもあるので、できるだけ病気を避けようとする疾病回避動機は意義のある動機と言えます。


しかし、避ける対象は病気の人だけで良いのでしょうか?


ある調査によると、「感染症の兆候がある人が使用した道具を使用する意欲は低い」ことがわかりました。


つまり、病気を避ける為に、私たちはその病気に罹患している人だけでなく、その病気に関連するものまで避けようとするというわけです。


祖先の環境では適応的だったかもしれないこの行動も、現代社会では不適応を招く可能性も大いにあります。


エイズ患者やハンセン病患者が不必要に隔離されたり、迫害されたりということが行われてきた歴史は、ヒトの異常すぎる(祖先の環境では正常)疾病回避動機が原因だったのです。


医学の進歩は早いと言いますが、その早すぎる進歩に私たちの“心”はまだ追いついていないのです。


参考文献:


Ryan, S., Oaten, M., Stevenson, R. J., & Case, T. I. (2012). Facial disfigurement is treated like an infectious disease. Evolution and Human Behavior, 33(6), 639–646. https://doi.org/10.1016/j.evolhumbehav.2012.04.001

Comments


bottom of page