サナダムシの年功序列
寄生虫は宿主を操作することがある
同一個体内に複数の寄生虫が存在する場合、利害が一致しない場合がある
サナダムシの若い個体と年長の個体が同時に寄生する場合、宿主は常に年長の個体の影響を受ける
よく日本企業の批判として年功序列があげられます。
しかし、年功序列の中にもいくらかは個人の能力によって評価される機会が存在しますが、どうやらサナダムシの世界は完全な年功序列なのかもしれません。
寄生虫は宿主を操作することがあるということは寄生虫の研究から知られていることですが、問題は同一個体内に複数の寄生虫が存在する場合です。
なぜなら、複数の寄生虫の利害は一致しない可能性があるからです。
では、利害が一致しないような状況では何が起きるのでしょうか?
どうやら、サナダムシの若い個体と年長の個体が同時に寄生する場合、宿主は常に年長の個体の影響を受けるということが2015年の研究から分かりました。
これは、サナダムシの若い個体が気を使って年長の個体に忖度しているということではありませんが、一見すると年功序列のように見える興味深い話です。
参考文献:
Hafer, N. and Milinski, M. (2015), When parasites disagree: Evidence for parasite‐induced sabotage of host manipulation. Evolution, 69: 611-620. https://doi.org/10.1111/evo.12612
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