セイシェルヨシキリの例
ヘルパー(子育てを助ける個体)のおかげで生存率は向上するが、資源も消費する
セイシェルヨシキリのヘルパーは主にメス
資源が乏しければオスを産み、資源が豊富であればメスを多く産む
ヘルパーが既に2個体以上いると、資源が豊富でもオスを多く産む
より多くの遺伝子が残るように、産み分けが行われるということ
子どもを産む際、男の子が良いのか、女の子が良いのか、親にとっては大切な問題です。
多くの親が子どもを産み分けできる方法を探しているのは間違いありません。
確かに、産み分けはとても難しいことかもしれませんが、自然界には産み分けをなんなくやってのける生き物もいます。
セイシェルヨシキリという鳥がその例です。
セイシェルヨシキリはヘルパー(子育てを助ける個体)という個体(主にメス)が親の子育てを手伝うことで知られています。
しかし、ヘルパーの存在はより多くの資源消費を伴いますから、例え生まれてくる子の生存率が上昇しても、資源が乏しい環境ではメスを産むことはデメリットになります。
反対に、資源が豊富であればメスを産んだ方が、ヘルパーになってくれ弟妹の世話を手伝ってくれるので、生存率向上という観点からも得になります。
実際、セイシェルヨシキリは資源が乏しければオスを産み、資源が豊富であればメスを多く産むという産み分けを実践していることがわかっています。
さらに興味深いのは、ヘルパーが既に2個体以上いると、資源が豊富でもオスを多く産むということです。
これは、ヘルパーが足りている場合はこれ以上メスを多く産むメリットは無いので、オスを多く産んだ方が得になるからです。
自然界では、より多くの遺伝子が残るように産み分けが行われるということです。
自然淘汰はあくまでも、どの遺伝子が生き残り受け継がれてきたかといういわゆる“結果論”ですが、それでも十分な時間を進化に費やしてきた生き物は遺伝子を多く受け継ぐように“適応”しているので、遺伝子の複製に“得”になるかどうかということで生き物の行動を予測しても、案外当たることは多いのかもしれません。
参考文献:
Komdeur, J., Daan, S., Tinbergen, J. et al. Extreme adaptive modification in sex ratio of the Seychelles warbler's eggs. Nature385, 522–525 (1997). https://doi.org/10.1038/385522a0
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