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なぜ食べ物を共有するのか?

食物共有のリスク緩衝機能


食物共有は食糧危機のリスクを緩衝する機能を持つ
畜産、貯蔵、市場などにより食料を円滑に手に入れられる地域では食べ物は共有されにくい

夕食時に隣人から醤油やお砂糖などの調味料を貸し借りする。


そんな昭和の哀愁漂う景色は近隣にスーパーが出来ると消え始め、24時間営業のコンビニエンスストアの普及と共に完全に消え去ってしまったと言っても過言ではないでしょう。


都会では、こういった形での人と人の繋がりを中々感じれなくなりましたが、私たちが食物共有を行わなくなったのは、私たちの心が廃れてしまったからなのでしょうか?


2019年に行われた研究は、この疑問に対してリスク緩衝という観点から食物共有の利点について説明しています。


食物共有におけるリスク緩衝とは、食べ物を普段から共有しておくことが、食べ物が無いような状況で飢えてしまうというリスクを防ぐというものです。


つまり、今日の余った食材が明日の必要な食材へと変わるわけです。


どういった地域が食物共有を行わないのかを調べてみると、「畜産、貯蔵、市場などにより食料を円滑に手に入れられる地域では食べ物は共有されにくい」ことが分かりました。


畜産を行う地域では食料が余っても畜産物という形で蓄えることが可能です。


貯蔵が可能な地域では余った食べ物はそのまま保存が出来ますし、市場が存在する地域では必要になった食べ物はその時に買えば良いのです。


つまり、食物共有を行わないから私たちの心は廃れたと判断するのではなく、そもそも私たちは食糧危機というリスクを緩衝する為に他者との繋がりを食物共有という形で保っていたに過ぎないと考えるのが自然ではないでしょうか?


参考文献:


Ringen, E. J., Duda, P., & Jaeggi, A. V. (2019). The evolution of daily food sharing: A Bayesian phylogenetic analysis. Evolution and Human Behavior, 40(4), 375-384. doi:10.1016/j.evolhumbehav.2019.04.003

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