「dear enemy effect」と「nasty neighbor effect」
なわばりがはっきりすると、威嚇や攻撃のコストを学習し、隣の群れとは争わなくなる(dear enemy effect)
しかし、食料などの資源が限られている場合は未知個体よりも隣接者に対してより攻撃的になる(nasty neighbor effect)
都会から田舎に引っ越すと、今まではなかったご近所づきあいが始まることがあります。
都会とは違い、近所の人と仲良くすることが田舎では大切なのです。
近所の人と仲良くすべきかどうか、動物も悩むことがあります。
なわばりをもつ動物は、隣接者(隣の群れ)と未知の個体、どちらに対してより攻撃的になるのでしょうか?
なわばりがはっきりすると、威嚇や攻撃のコストを学習し、隣の群れとは争わなくなるという効果をdear enemy effectと言います。
これは、毎日毎日隣接者を威嚇・攻撃していてはコストがかかりすぎるということを学習すれば、隣接者と仲良くできるということです。
しかし、話はそう簡単ではありません。
食料などの資源が限られている場合は未知個体よりも隣接者に対してより攻撃的になるというnasty neighbor effectも知られています。
これは、資源が限られている場合は、隣接者と仲良くしていたのでは死んでしまいますので、積極的に威嚇・攻撃を、し限りある資源を奪わなければいけないことを意味します。
動物も隣接者と仲良くするかどうかは資源が豊富かどうかで決まるというのは、なんとも世知辛い話かもしれません。
参考文献:
Temeles, E. J. (1994). The role of neighbours in territorial systems: When are they "dear enemies"? Animal Behaviour, 47(2), 339–350. https://doi.org/10.1006/anbe.1994.1047
Müller, C. A., & Manser, M. B. (2007). 'Nasty neighbours' rather than 'dear enemies' in a social carnivore. Proceedings. Biological sciences, 274(1612), 959–965. https://doi.org/10.1098/rspb.2006.0222