寝取られのリスクと精子間競争
パートナーと離れて過ごす時間が長い男性はより高い寝取られのリスクを抱える
寝取られのリスクが高い男性はパートナーへの性的関心が高くなり、性交を拒否されるとより苦痛を感じ、拒否に対してより持続的な性交の要求をする
男女関係には楽しいことだけでなく、浮気などの裏切りが絡んでくることが常と言えます。
そこには、男性は常に他人の子を育てるかもしれないという「父性の不確実性」という問題がつきまといます。
男性の皆さんは、女性が産んだ子が本当に自分の子かわからないのです。
もし仮に、ある男性がパートナーの100%の時間を共に過ごせば、男性が寝取られる可能性は0と言って良いでしょう。
しかし、ほんのわずかでもパートナーが他の男性と過ごせば、寝取られる可能性はもはや0では無くなります。
そう考えると、男性は女性の寝取られという問題に対して成す術のない無力な存在なのでしょうか?
進化心理学で重要な考え方の一つ、「精子間競争」は男性は寝取られを防ぐことができないという考え方に待ったをかけます。
ある研究によると、寝取られのリスクが高い男性はパートナーへの性的関心が高くなり、性交を拒否されるとより苦痛を感じ、拒否に対してより持続的な性交の要求をすることがわかりました。
仮にパートナー(女性)が不貞を犯していた場合でも、男性の精子がその後の性交で先に受精に成功すれば、寝取られは防げることになります。
しかし、そうする為には寝取られのリスクを抱えた男性はパートナーに対してより高い性的関心がなければいけませんし、性交を拒否された際により高いレベルの苦痛を感じなければいけません。さらには、拒否に対してもめげずに性交を要求することが寝取られ防止に役立ちます。
これらの進化心理学的な予測をこの研究では裏付けているというわけです。
男性が女性の浮気を疑ってやまないのは、そもそもの生物学的な違いが原因なのです。
参考文献:
Shackelford, T. K., Goetz, A. T., McKibbin, W. F., & Starratt, V. G. (2007). Absence makes the adaptations grow fonder: Proportion of time apart from partner, male sexual psychology, and sperm competition in humans (Homo sapiens). Journal of Comparative Psychology, 121(2), 214–220. https://doi.org/10.1037/0735-7036.121.2.214