2023年6月30日2 分

赤ちゃんは自分と同じ人種を信頼する?

人種と乳児の視線追従

不確実な状況下での乳児の視線追従を調べた2018年の研究
視線がイベントの発生を100%予期した場合、乳児は自人種と他人種の大人の視線どちらにも同じように追従した
視線がイベントの発生を25%予期した場合、乳児はどちらの大人の視線にも従わなかった
視線がイベントの発生を50%予期した場合(不確実)、乳児は他人種の大人よりも自人種の大人の視線により追従した

近年では、人種差別に向けられる目が一層厳しくなり、「人種」を扱うこと自体がセンシティブになってきました。

しかし、人種間の違いなど、個人の心理や行動に与えるさまざまな影響を一概に無視することはできません。

もちろん、科学的な研究とは差別を助長することを目的としているわけではありませんので、その点には注意が必要ですが、「人種」を研究に取り入れることは、私たちヒトについての理解をより深いものにしてくれます。

例えば、不確実な状況下での乳児の視線追従を調べた2018年の研究を見てみましょう。

この研究によれば、視線がイベントの発生を100%予期した場合、乳児は自人種と他人種の大人の視線どちらにも同じように追従しました。

一方、視線がイベントの発生を25%予期した場合、乳児はどちらの大人の視線にも従いませんでした。

重要なのは、視線がイベントの発生を50%予期した場合(不確実)、乳児は他人種の大人よりも自人種の大人の視線により追従したということです。

もし、「人種」を扱うこと自体が難しくなってしまえば、こういう研究が明らかにできるヒトの心理的・行動的側面を理解することは難しくなっていくでしょう。

参考文献:

Xiao, N. G., Wu, R., Quinn, P. C., Liu, S., Tummeltshammer, K. S., Kirkham, N. Z., ... & Lee, K. (2018). Infants rely more on gaze cues from own‐race than other‐race adults for learning under uncertainty. Child development, 89(3), e229-e244.