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野生動物を殺すことは許されるのか

  • 執筆者の写真: 日本進化心理学IHAセンター
    日本進化心理学IHAセンター
  • 2023年11月9日
  • 読了時間: 2分

野生動物の致死的管理に対する住民と職員の態度


野生動物を適切に管理する為に致死的管理を用いることに対する住民(ミシガン州)と職員(Michigan Department of Natural Resources' Wildlife Division)の態度を比較した2004年の研究
7つの現実の状況(野生動物の病気をコントロールする、野生動物の被害をコントロールする、公共の安全を確保する、種の存続を確保する、地域の生態系を守る、野生動物の個体数をコントロールする、食料採集の機会を提供する)に対する態度を調査
提示された全ての状況において、職員は住民よりも致死的管理を支持していたがほとんどの住民も致死的管理を支持していた(職員と住民の意見が一致しないことはなかった)
さらに、「野生動物を殺すことは決して許されない」を支持する人はほとんどいなかった(職員:0%、住民3%)

最近の日本では、クマが人間を襲う事例がテレビでもよく報道されており、クマを駆除することに反対する人や賛成する人の意見がSNS上でも飛び交っています。


心理学の研究の面白いところは、このような問題に向き合う時に、「野生動物を殺すことは良いことかどうか」という倫理的な側面をいきなり検討するのではなく、「人々はどう考えているか」や「なぜ人々はそう考えるのか」などの心理的な側面を検討することだと思います。


今回は、野生動物を殺すことについて考えてみましょう。


野生動物を適切に管理する為に致死的管理を用いることに対する住民(ミシガン州)と職員(Michigan Department of Natural Resources' Wildlife Division)の態度を比較した2004年の研究では、7つの現実の状況(野生動物の病気をコントロールする、野生動物の被害をコントロールする、公共の安全を確保する、種の存続を確保する、地域の生態系を守る、野生動物の個体数をコントロールする、食料採集の機会を提供する)に対する態度を調査しました。


その結果、提示された全ての状況において、職員は住民よりも致死的管理を支持していたがほとんどの住民も致死的管理を支持していました。


重要なことは、職員と住民の意見が一致しないことはなかったという点だと思います。


さらに、「野生動物を殺すことは決して許されない」を支持する人はほとんどいなかった(職員:0%、住民3%)という点も興味深いかもしれません。


心理学全体では、数えきれないほどの調査や研究が世界中ですでに行われて論文となっていますので、疑問に思ったことがあれば、論文をまずは探してみるということをすると面白いと思います。


参考文献:


Koval, M. H., & Mertig, A. G. (2004). Attitudes of the Michigan public and wildlife agency personnel toward lethal wildlife management. Wildlife Society Bulletin, 32(1), 232-243.

 
 

*全ての記事は科学的な知見に基づくものであり、一部の人に不利になるような思想を助長させるものではありません。

*全ての記事の内容は新たな知見等により、多少の修正が必要な場合や正反対の見解が正しいとされる場合もあります。

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