1月10日3 分

社会政治的態度に性差はあるのか?

アメリカ人の社会政治的態度

平均年齢32歳のアメリカ人1,108名(43%が女性)の社会政治的態度を分析した2020年の研究
社会政治的態度は5つの次元(ソシオセクシャリティ、慈悲的性差別、富の再分配、Nonconforming Behaviors、伝統的家族観)に分類された
男性は女性よりもより制限のないソシオセクシャリティ(「愛のないセックスはOK」や「売春は悪いことではない」など)を持つ
女性は男性に比べ、若年層は高年齢層よりも、低所得者層は高所得者層よりも、慈悲的性差別(「男性は女性を大切にし、守るべき」や「男性はデートのために経済的責任を負う覚悟を持つべき」など)を表明する傾向が低い
女性は男性よりも、所得の低い人は所得の高い人よりも、富の再分配(「最低賃金を引き上げるべき」と「政府はすべての労働者とその家族に医療を保障する政策を採用すべき」)を支持
Nonconforming Behaviors(「レズビアンの女性は、異性愛者のカップルと同じように、結婚して子どもを持つ権利を持つべき」や「ゲイの男性は、異性愛者のカップルと同じように、結婚して子どもを持つ権利を持つべき」など)については性差が見られなかった
女性は男性よりも伝統的家族観(「結婚して家庭を築こうとしない女性はおかしい」や「結婚する時は処女であるべき」など)に反対

私たちは社会や政治に対して様々な意見を持っています。

さて、男性と女性はそんな意見について同じような意見を持っているのでしょうか?それとも何か性差が見られるのでしょうか?

平均年齢32歳のアメリカ人1,108名(43%が女性)の社会政治的態度を分析した2020年の研究を見てみましょう。

社会政治的態度は5つの次元に分類されました。

5つの次元(Sociosexuality, Benevolent Sexism, Wealth Redistribution, Nonconforming Behaviors, and Traditional Family Values)は以下のようなものでした。

・ソシオセクシャリティ(「愛のないセックスはOK」や「売春は悪いことではない」など)

・慈悲的性差別(「男性は女性を大切にし、守るべき」や「男性はデートのために経済的責任を負う覚悟を持つべき」など)

・富の再分配(「最低賃金を引き上げるべき」と「政府はすべての労働者とその家族に医療を保障する政策を採用すべき」)

・Nonconforming Behaviors(「レズビアンの女性は、異性愛者のカップルと同じように、結婚して子どもを持つ権利を持つべき」や「ゲイの男性は、異性愛者のカップルと同じように、結婚して子どもを持つ権利を持つべき」など)

・伝統的家族観(「結婚して家庭を築こうとしない女性はおかしい」や「結婚する時は処女であるべき」など)

それぞれの次元について性差などを検討すると、以下のような結果になりました。

男性は女性よりもより制限のないソシオセクシャリティ(「愛のないセックスはOK」や「売春は悪いことではない」など)を持つ傾向にあった。

女性は男性に比べ、若年層は高年齢層よりも、低所得者層は高所得者層よりも、慈悲的性差別を表明する傾向が低かった。

女性は男性よりも、所得の低い人は所得の高い人よりも、富の再分配を支持する傾向にあった。

Nonconforming Behaviorsについては性差が見られず。

女性は男性よりも伝統的家族観に反対する傾向にあった。

少なくとも、今回のサンプルでは5つの次元のうち3つでは4つでは性差が確認されたというわけです。

他の国でも同じような結果が得られるのかや国別のばらつきを説明する要因については気になりますが、この研究では社会政治的態度の個人差が(単に)個人の利益を反映していると結論づけている点が面白いところです。

それぞれの次元について全ての項目が知りたい方は参考文献をご確認ください。

参考文献:

Luberti, F. R., Blake, K. R., & Brooks, R. C. (2020). The effects of the mating market, sex, age, and income on sociopolitical orientation: insights from evolutionary theory and sexual economics theory. Human Nature, 31, 88-111.