1月10日2 分

仕事はお金が全てじゃない?

意義と給与

有意義な仕事の為なら低い給与でも受け入れるか調べた2017年の研究
参加者は個人的に有意義だと考える仕事は(有意義だと思わない仕事と比べて)最低許容給与が低いと報告(研究1)
実験的に仕事の意義を高めると、参加者はその職(ただし弁護士という職に対してのみ)における最低許容給与を引き下げた(研究2)
2005年と2015年の大規模国際調査のデータを分析した結果、より有意義な仕事を経験した人ほど高給な仕事を断る可能性が高い(研究3)
より有意義な仕事を経験した人は(現在の組織以外の別の仕事/同じ組織で別の仕事/異なる組織での同じ仕事)がより給与の高いオファーであっても断る可能性が高かった(研究4)

「お金が全て」と考える人は、薄給な職に喜んで就いている人のことがなかなか理解できません。

今回は、人は有意義な仕事の為なら低い給与でも受け入れるのではないか?と考えて、それを実際に検証した2017年の研究を見てみましょう。

まず、研究1では、参加者は個人的に有意義だと考える仕事は(有意義だと思わない仕事と比べて)最低許容給与が低いと報告しました。

また、実験的に仕事の意義を高めると、参加者はその職(ただし弁護士という職に対してのみ)における最低許容給与を引き下げることが研究2でわかりました。

研究2では3つの職業タイプ(lawyer, elementary school teacher, delivery services driver)があったのですが、弁護士という職に対してのみ最低許容給与を引き下げるという効果が出たことについては、この論文では「ある一定の給与(基本的なニーズが満たされた)を超える職業で効果が強く出るのではないか」と考察しています。

研究3では、2005年と2015年の大規模国際調査のデータを分析した結果、より有意義な仕事を経験した人ほど高給な仕事を断る可能性が高いことがわかりました。

研究4では、より有意義な仕事を経験した人は(現在の組織以外の別の仕事/同じ組織で別の仕事/異なる組織での同じ仕事)がより給与の高いオファーであっても断る可能性が高かったことがわかりました。

研究1〜4までは一貫して、人が時には、具体的にはその仕事を有意義だと思えると、低い給与であったとしても受け入れることを示しています。

「やりがい搾取」という否定的な言葉もありますが、個人が少ない給与を喜んで受け入れる時というのは実際には存在するわけです。

参考文献:

Hu, J., & Hirsh, J. B. (2017). Accepting lower salaries for meaningful work. Frontiers in psychology, 8, 1649.