私たちは近親交配を嫌がるのか?
自分と親族との近親交配に対する嫌悪感を調べた2018年の研究
女性は男性よりも近親交配を強く嫌悪
その人物との血縁関係に関して主観的な確信度が高ければ近親交配嫌悪は高まる
進化心理学の世界では男性と女性の話になれば必ずと言って良いほど、男女の性的な話が話題に上がります。
男女がそろえば繁殖が起こる可能性があることは想像に難くありませんが、それは常に起こるわけではありません。
例えば、あなたが男性であれ女性であれ、異性の親族との性行為を想像すると嫌悪感を抱きませんか?
近親交配に関して私たちヒトが抱く感情について調べた2018年の研究を見てみましょう。
この研究では自分と親族が性的関係を結ぶ時を想像してもらいました。
その結果、女性は男性よりも近親交配を強く嫌悪することがわかりました。
さらに興味深いのは、その人物との血縁関係に関して主観的な確信度が高ければ近親交配嫌悪は高まるという点です。
この結果を解釈する為には近親交配を避ける動機、つまりどのような適応問題を回避するようにヒトが動機づけられているのかを考える必要があります。
近親交配には遺伝的に病気や障害のリスクを増加させてしまうという特徴があります。
しかし、近親交配によるデメリットは男女同じではありません。
1人の子どもに費やさなければいけない義務的投資や男女の繁殖適応度を考慮すると、男性よりも女性の方が近親交配によって被るデメリットは大きくなります。
また、誰が血縁者かというのは結局のところ主観的な予測にしか過ぎませんので、血縁者である可能性が高い人物との近親交配ほどデメリットが大きいのです。
これらの要因が複雑に絡み合うことで、私たちは近親者との性行為、近親交配に嫌悪感を抱くわけです。
参考文献:
Kresanov, P., Kotler, J., Seto, M., Lieberman, D., Santtila, P., & Antfolk, J. (2018). Intergenerational incest aversion: self-reported sexual arousal and disgust to hypothetical sexual contact with family members. Evolution and Human Behavior, 39(6), 664-674.
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