インターネット上の誹謗中傷に関する性差
インターネット上の誹謗中傷に関する性差を調べた2019年の研究
誹謗中傷によって女性は男性よりも動揺する
女性は容姿を貶める書き込みを多く経験する
男性はステータスを貶める書き込みを多く経験する
近年では多くの人々がSNSを利用し、若者にとっては他者とコミュニケーションをとる上で欠かせないツールとなっています。
では、近年になってようやく登場したSNS上は進化心理学の研究対象とならないのでしょうか?
インターネット上の誹謗中傷に関する性差を調べた2019年の研究を見てみましょう。
この研究によると、誹謗中傷によって女性は男性よりも動揺し、女性は容姿を貶める書き込みを多く経験する一方、男性はステータスを貶める書き込みを多く経験することがわかりました。
なぜ人々は他者を非難する時に性別によって投稿する内容を変えるのでしょうか?
それは、それぞれの性にとって重要な要素(異性に求められる要素)が異なるからです。
つまり、男性は女性の容姿を重要視する為に、女性は容姿を貶されることをとても嫌がり、これを誹謗中傷を行う人々は利用するわけです。
同じように、女性は男性のステータスを重要視する為、男性が誹謗中傷の的になる際にはステータスが貶められることが多いと考えられます。
この研究が興味深いのは、たとえ進化の歴史上のほんのわずかな時間に出現した対象(SNS)であっても、人々がそれを利用する際には進化した心の挙動が見られるということです。
参考文献:
Wyckoff, J. P., Buss, D. M., & Markman, A. B. (2019). Sex differences in victimization and consequences of cyber aggression: An evolutionary perspective. Evolutionary behavioral sciences, 13(3), 254.