平均寿命と初産年齢の関係
生活史理論が予測するパターンが現代女性にも見られるのか調べた2008年の研究
世界の国々を分析した結果、平均寿命だけで、初産年齢のばらつきの68%も予測できることが判明
現代の日本では少子高齢化による問題が叫ばれて長くなりますが、そもそもなぜ子どもが産まれないのでしょうか?
もちろん、人間の行動を左右する要因はたくさんありますが、生物学的な観点から考えると、ある生物がいつ・どれだけの子孫を残すかはその生物の寿命がどれだけあるかに影響を受けます(寿命が短ければ、早期に生殖を開始し、子孫は多い傾向にある)。
進化心理学ではこの「生活史理論」が人々の個人差を説明する為にも用いられています。
つまり、少子高齢化は寿命の長い人々(特に女性)が子孫を少なく・遅く産むことにより引き起こされる可能性があるわけです。
生活史理論が予測するパターンが現代女性にも見られるのか調べた2008年の研究を見てみましょう。
この研究では世界の国々を分析した結果、平均寿命だけで、初産年齢のばらつきの68%も予測できることが判明しました。
どうやら、生活史理論の予測は現代女性にも当てはまるようです。
(少子高齢化を気にするのであれば)平均寿命が伸びた現代社会でどのような社会制度があれば人々が子どもを多く産むようになるのか、言い換えるならばどれだけの影響力を持つ要因であれば生活史理論の予測パターンから外れることができるのか、考えてみると面白いかもしれません。
参考文献:
Low, B. S., Hazel, A., Parker, N., & Welch, K. B. (2008). Influences on women's reproductive lives: Unexpected ecological underpinnings. Cross-Cultural Research, 42(3), 201-219.