応援するチームとテストステロン
サッカーW杯の試合を観た後、勝利チームの男性ファンのテストステロンは上昇し、敗北チームの男性ファンのテストステロンは減少した
テストステロンの上昇は他の争いで勝つ可能性が高いことを意味し、減少は負ける可能性が高いことを意味する(争いを挑むか避けるかの判断材料になる)
サッカーに最も注目が集まるトーナメントと言えば、やはりサッカーW杯でしょう。
期間中は、日頃サッカーを観ない人や学生時代にサッカーをやっていた人けど現在はやっていない人など、非常に多くの人がサッカーの話題で持ちきりになります。
私たちが試合を観戦し、熱狂する時、私たちの体にはどういう変化が訪れるのでしょうか?
1998年の研究によると、サッカーW杯の試合を観た後、勝利チームの男性ファンのテストステロンは上昇し、敗北チームの男性ファンのテストステロンは減少するということがわかりました。
なぜ実際にプレーしていないファンのホルモンレベルに影響が起こるのでしょうか?
実は、テストステロンの上昇は他の争いで勝つ可能性が高いことを意味し、減少は負ける可能性が高いことを意味すると考えられており、これが争いを挑むか避けるかの判断材料になるというわけです。
祖先の環境では、応援するチームとそうでないチームというのはいわば味方のチームと敵のチームということが言えます。
つまり、そういった環境では、仲間のチームが勝てば、続く争いでも勝つ可能性があります。
勝ったチームを応援していた人のテストステロンが上昇すれば、争いに意欲的な個体の方が有利になりますが(勝つ可能性が高いので)、反対に負けたチームを応援していた人がテストステロンの上昇を経験し、争いを挑んでも続く争いで負ける可能性が高いので、これは不利になります。
したがって、私たちが応援するスポーツチーム(仲間)の勝敗は私たちのテストステロンの増減(争う意欲)と関連するわけです。
参考文献:
Bernhardt, P. C., Dabbs, J. M., Jr, Fielden, J. A., & Lutter, C. D. (1998). Testosterone changes during vicarious experiences of winning and losing among fans at sporting events. Physiology & behavior, 65(1), 59–62. https://doi.org/10.1016/s0031-9384(98)00147-4
Mazur, A. (1985). A biosocial model of status in face-to-face primate groups. Social Forces, 64(2), 377–402. https://doi.org/10.2307/2578647