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無駄な寄付

評判か効率か


ヒトは無駄と分かっていても匿名でなければ寄付を行う可能性が高い
無駄な寄付を行っても、評判は高まる
寄付を行う理由は、寄付をすることで評判が高まるから(寄付がもたらす効果は二の次)ということ

寄付があまり盛んでないと言われる日本でさえ、災害などが発生すると多くの人が寄付を行います。


しかし、寄付というのは効率的に行われるのでしょうか?


よく考えてみると無駄な方法で行われる寄付や既に救いの手が差し伸べられている場所にも多額の寄付が行われることがあります。


私たちはなぜ“無駄な”寄付を行うのでしょうか?


進化心理学に関する2010年の研究は、ヒトは無駄と分かっていても匿名でなければ寄付を行う可能性が高いことを明らかにしています。


これには、無駄な寄付を行っても、評判は高まるという現象が関係しています。


つまり、寄付を行う理由は、寄付をすることで評判が高まるから(寄付がもたらす効果は二の次)ということです。


私たちヒトはあくまでも生物であるという考えに立つと、他者を助ける理由はそれが自分の利益になるからという当然の結論に達することができます(他者を助け、利益がなければそのような形質は子孫に受け継がれない)。


つまり、評判を高める為に私たちは寄付をするので(評判が高いと結果として異性の獲得や協力関係の構築に役立つということ)、寄付がどのように使われるかなどはあまり関心がないわけです(他者に寄付をする余裕があるということが示せれば良いし、無駄な寄付を行っても評判が高まるという現象は、私たちが効果的な寄付をしたかではなく、コストを支払い他者を助けたかに注目していることを意味する)。


参考文献:


Van Vugt, M., & Hardy, C. L. (2010). Cooperation for reputation: Wasteful contributions as costly signals in public goods. Group Processes & Intergroup Relations, 13(1), 101–111. https://doi.org/10.1177/1368430209342258

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