身長と攻撃性

「ナポレオン・コンプレックス」という言葉を知っていますか？

これは、欧米において「身長が低い者は攻撃的になる」と身長の低さを皮肉った言い回しとして使われます。

「ナポレオンが生きていた時代を考慮すると、ナポレオンの身長は決して低かったわけではないと」いうことはさておき、進化心理学に関する研究はこのナポレオン・コンプレックスを一部支持できるような結果を導きました。

2018年の研究によると、「身長の低い男性は資源を獲得する際、身長の低さを補う為に身長の高い男性に対して間接的な攻撃を用いる可能性が高い」ことがわかりました。

つまり、身長が低い男性は身長が高い男性と単に力比べ（直接的攻撃）で資源獲得競争を挑んでも負ける可能性が高いので、間接的攻撃に切り替えるわけです。

身長が低い（身体的に不利な）男性は、身長が高い男性が資源を独り占めするのをただ見守るしかないわけではなく、身長が低ければ低いなりに適した戦い方があるというわけです。

参考文献：

Lugli, A., Zlobec, I., Singer, G. et al. Napoleon Bonaparte's gastric cancer: a clinicopathologic approach to staging, pathogenesis, and etiology. Nat Rev Gastroenterol Hepatol4, 52–57 (2007). https://doi.org/10.1038/ncpgasthep0684

Knapen, J. E., Blaker, N. M., & Van Vugt, M. (2018). The Napoleon complex: when shorter men take more. Psychological science, 29(7), 1134-1144.