進化心理学ってなに?簡単にわかる2つのポイントとは?
1. ある心理メカニズムが普遍的に見られるなら、それは適応的だったから
2. 適応的とは生存 or 繁殖に有利ということ
進化心理学とはその字の如く、進化の観点からヒトの心理を分析する学問です。
進化心理学の基本的な考え方を表すと、
1. ある心理メカニズムが普遍的に見られるなら、それは適応的だったから
2. 適応的とは生存 or 繁殖に有利ということ
という2つのことにまとめられます。
まず最初に注目するのはある心理メカニズムが普遍的に見られるかどうかです。
(進化心理学はあくまでもヒトを1つの種として捉えます)
例えば、恐怖や嫉妬という2つの感情を考えてみましょう。
さまざまな調査から、恐怖や嫉妬は世界中の人々が普遍的に持っているということがわかっています。
つまり、恐怖や嫉妬といった感情を持つことは何らかの意味がある可能性があるということです。
では次に、恐怖は嫉妬を持つことが本当に適応的か考えてみましょう。
次のような解釈が可能です。
恐怖→危険な物を目の前にしても逃げない個体は死んでしまう。
嫉妬→メスを他のオスに取られても気にしなければ、子孫を残せない。
つまり、恐怖や嫉妬といった感情を持つ個体は、そういった感情を持たない個体に比べてより長生きし、より多くの子孫を残すことになります。すると、結果的にはその種の多くの個体が恐怖や嫉妬といった感情を抱くようになります。
リチャード・ドーキンスは「利己的な遺伝子」という概念を広めました。
これは進化心理学の中でもとても重要な理論の1つです。
「利己的な遺伝子」とは、遺伝子は自分のコピーを作るべく、個体を乗り物のように扱うという例えです。
ドーキンスには生き物が生まれては死んでいく中で遺伝子が絶え間なく受け継がれていく様子が、遺伝子が生き物の体を乗り換え続けているように思えたのです。
結局のところ、私たちの行動の多くは遺伝子をより多く残すために行われているのです。
参考文献:
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