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寄生虫に対抗する為には...

  • 執筆者の写真: 日本進化心理学IHAセンター
    日本進化心理学IHAセンター
  • 2021年5月1日
  • 読了時間: 2分

寄生虫と対抗戦略


1. 脳へのアクセスを制限する
2. 操作のコストを増やす
3. 信号の複雑性を高める
4. 堅牢性を高める

私たちヒトは寄生虫に対抗する為のさまざまな戦略を持っています。


2019年の研究では、寄生虫への対抗手段として、4つの戦略を明らかにしています。


1つ目の戦略は「脳へのアクセスを制限する」ことです。


例えば、ヒトには血液脳関門という中枢神経系を保護する障壁が存在しています。


これは、寄生虫が脳へ侵入することを防いでくれます。


2つ目の戦略は「操作のコストを増やす」ことです。


例としては、ある行動や反応を引き起こす為に必要な神経伝達物質の量を増やすことがあげられます。


寄生虫は宿主を乗っ取り操作することがあるので、操作のコストを上げることは有効な戦略と考えられます。


3つ目の戦略は「信号の複雑性を高める」ことです。


寄生虫が宿主に影響を与える為には、さまざまな信号コードを解読しなければなりません(ある行動を引き起こすにはどういった神経伝達物質がどれくらいの量必要かなど)。


つまり、宿主が信号の複雑さを高めることによって、寄生虫はそれを解読するのにかかるコストが増加するわけです。


4つ目の戦略は「堅牢性を高める」ことです。


これは、単に寄生虫からの攻撃に耐えるようにすることが含まれます。


つまり、寄生虫の攻撃中であっても宿主は問題なく行動できるように対処することが例としてあげられます(ある反応が加速し続けないように作用するネガティブフィードバックなど)。


私たちが生物学で学ぶような複雑な人体の機構やさまざまな神経伝達物質は寄生虫に対処する為に必要なことだと考えると、より興味が湧いて、勉強する気になりませんか?


参考文献:


Del Giudice, M. (2019). Invisible designers: Brain evolution through the lens of parasite manipulation. The Quarterly Review of Biology, 94(3), 249-282.

 
 

*全ての記事は科学的な知見に基づくものであり、一部の人に不利になるような思想を助長させるものではありません。

*全ての記事の内容は新たな知見等により、多少の修正が必要な場合や正反対の見解が正しいとされる場合もあります。

​*全ての記事は正確さの担保の為に、出来るだけ多くの引用や参考文献を紹介しますが、最終的な正確さの判断はご自身でなさってください。

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