男性的な特徴への選好の阻害
男性的な特徴への女性の好みの増加を阻害する要因を検討した2014年の研究
攻撃的な男性同士の画像にさらされた女性は男性的な特徴への好みが増加する
しかし、男性の攻撃性が女性に向けられている場合、そのような効果は見られない
女性の皆さん、暴力的な男性はお好きですか?
こう聞くと、「えっ」と思ってしまうかもしれませんが、「暴力的」という言葉を言い換えて、「攻撃的な男性」と聞くと少しはイメージが変わるかもしれません。
もちろん、攻撃的な男性が好きな女性もそうでない女性もいると思います。
今回は、女性の攻撃的な男性への選好について考えてみましょう。
2014年の研究では331名の女性に「男性から男性への攻撃性」「男性から女性への攻撃性」「病原体」「中立条件」の画像をプライミングして、女性の男性化した顔や声への選好を調査しました。
ちなみに、「男性から男性への攻撃性」とはボクシングなどの画像、「男性から女性への攻撃性」とは男の人が女の人をひっぱたくなどの画像、「病原体」とは汚れたトイレなどの画像、「中立条件」とは男の人が落ち着いて本を読むなどの画像でした。
その結果、「男性から男性への攻撃性」「病原体」「中立」のプライミングは男性的特徴への選好の増加と関連していました。
つまり、男性的な特徴への選好はこれらの特徴へ繰り返しさらされることによって強まったのです。
しかし、重要なことは男性から女性への攻撃性の画像は例外的で、男性的な特徴への選好を阻害する結果となりました。
つまり、女性は男性の攻撃性が自身に向けられるような場合には男性的な特徴への選好を失うようです。
結果を言い換えるのであれば、女性が男性的な特徴を好むのは男性的な特徴が手がかりとなる男性の攻撃性が利益と不利益というトレード・オフによって調整された結果、利益が上回っている状態だからだと考えられます。
「男性や女性は異性に対して同じ好みを持っている」と考えるのではなく、個人差を理解し、その個人差を生み出す要因を検討していくことも重要なのです。
参考文献:
Li, Y., Bailey, D. H., Winegard, B., Puts, D. A., Welling, L. L., & Geary, D. C. (2014). Women’s preference for masculine traits is disrupted by images of male-on-female aggression. PLoS One, 9(10), e110497.