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こっちを向かないで!

体の向きと距離の知覚


他者(アバター)の体の向きと推定距離の関係を調べた2016年の研究
アバターが自分の方を向いている時には、背を向けている時よりも近いと感じる

電車に乗ると、実に不思議な体験をすることがあります。


多くの人で混雑した電車に乗っており、他の人がこっちを向いている時には、向こうを向いている時よりもなんだか窮屈に感じるのです。


相手が向こうを向いていれば、お互いの体が近くてもそこまで窮屈には感じないのに、相手がこっちを向いた途端、同じ距離でも非常に息苦しく感じてしまいます。


今回は他者の体の向きとその人物と自身の間の距離の推定の関係について調べた2016年の研究を見てみましょう。


この研究では、アバターが自分の方を向いている時には、背を向けている時よりも近いと感じることがわかりました。


また、興味深いのはアバターがこちらをじっとみている時や実験参加者に対して正対している時に特に効果がみられなかったことです。


これは、視線や正対といった要素がなくても、体の向きがこちら側を向いているだけで、距離を近く感じるという効果が十分に発生することを意味しています。


考えられる進化的な説明としては、他者がこちらを向いているかどうかは、防御行動を素早く取れるかどうかと密接に関連する為、こちらを向いている時には防御行動の準備の為に推定距離が短くなるのかもしれません。


近年ではVRなどの発達により、様々な手法で複雑な実験が手軽に行えるようになっていることが感じられる研究です。


参考文献:


Jung, E., Takahashi, K., Watanabe, K., de la Rosa, S., Butz, M. V., Bülthoff, H. H., & Meilinger, T. (2016). The influence of human body orientation on distance judgments. Frontiers in psychology, 7, 217.

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