脳の10%神話とは?
脳がもし10%しか使われていないのなら、淘汰圧が働いたであろう
セミナーなどで「人は脳の10%しか使っていない」というようなことを聞いたことはないでしょうか?
実は、心理学の世界ではこの話は誤っているとされることが多いです。
脳の10%しか使われていないということはあり得ないということを臨床的見地と進化心理学的見地から分析することができます。
臨床的見地:
1. どの脳部位が損傷しても影響がある。
さまざまな症例から、脳部位が少しでも損傷すれば影響があるということがわかっており、もし脳の10%しか使われていないのなら、脳の90%は失っても影響がないということになります。
進化心理学的見地:
2. 進化において必要のない器官はいずれ淘汰される。
進化の歴史において、生存は非常に重要な問題でした。
脳は重量2%に対しエネルギーの20%を使います。
もし、脳の90%が必要ないのなら、これだけのエネルギーを使う必要はなく、使われない器官は淘汰されたと考えるべきです。
参考文献;
Kolb, B., & Whishaw, I. Q. (n.d.). Neuropsychology. Handbook of Psychophysiology, 26–38. doi: 10.1017/9781107415782.003
Raichle ME, Gusnard DA. Appraising the brain's energy budget. Proc Natl Acad Sci U S A. 2002;99(16):10237–10239. doi:10.1073/pnas.172399499