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最適化された歩行速度!?

歩行速度と移動コスト


単位時間あたりの移動コストは線形的に増加する(速く移動すればするほどエネルギー消費量は増加する)
しかし、単位移動距離あたりの移動コストはU字型で分速74mで最小になる
ヒトが自然に歩くスピードでは移動コストが最も低くなることから、ヒトの歩行は最適化されていると言える

皆さんはどれくらいの速さで歩きますか?


車や電車を通勤や通学に使うと、なかなか歩くことはなくなってしまうと思いますが、普段から歩く方は自分がどれくらいの速さで歩くのかを考えてみてください。


一般的には人の歩く速度は約4kmと言われたりしますが、歩行速度と移動コスト(エネルギー消費)には興味深い関連が見られます。


研究によると、単位時間あたりの移動コストは線形的に増加します。


「線形的に」というのは速く移動すればするほどエネルギー消費量は増加するということを意味します。


例えば、1時間歩くということを考えると、Aさんが時速5km、Bさんが時速10kmの速度でそれぞれ歩くと、消費エネルギーはBさんの方が多くなることが直感的にわかると思います。


しかし、面白いのは単位移動距離あたりの移動コストは分速74mで最小になるということです。


先ほどの例に当てはめると、同じ距離(例えば5km)を歩き切る場合は、歩行速度は遅すぎても速すぎても無駄なエネルギーを消費してしまうということです。


つまり、単位移動距離あたりの移動コスト(消費エネルギー)はU字型になるのです。


分速74mというと時速4.44kmですので、(もちろん体重や年齢、性別によって影響を受けますが)これはヒトが自然に歩くスピードと一致します。


これらのことから、私たちヒトの歩行は消費エネルギーを最小化するような非常に効率的な運動ということができます。


意識せずとも、自然と最適化された行動を取れるというのは他の生物の習性などと同じように私たちの行動が進化によって形作られてきたという証拠の1つと言えるでしょう。


参考文献:


Browning, R. C., Baker, E. A., Herron, J. A., & Kram, R. (2006). Effects of obesity and sex on the energetic cost and preferred speed of walking. Journal of applied physiology, 100(2), 390-398.


Bohannon, R. W., & Andrews, A. W. (2011). Normal walking speed: a descriptive meta-analysis. Physiotherapy, 97(3), 182-189.


Ralston, H. J. (1958). Energy-speed relation and optimal speed during level walking. Internationale Zeitschrift für Angewandte Physiologie Einschliesslich Arbeitsphysiologie, 17(4), 277-283.

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