不正行為者の記憶と割合
裏切り者(不正行為者)は少数の場合には最もよく記憶されるが、多くの人が不正行為をする場合には記憶されにくくなる
裏切り者を検出することは生存に有効だが、裏切り行為が一般化すると裏切りを検出するメリットが減少するということ
皆さんは誰かがズルをするところを見たことがありますか?
列に割り込むでも、何かを盗むでも何でも構いません。
私たちの脳には「裏切り者」を検出するようなメカニズムが備わっていると進化心理学者は考えています。
例えば、2008年の研究では「裏切り者(不正行為者)は少数の場合には最もよく記憶されるが、多くの人が不正行為をする場合には記憶されにくくなる」ということがわかりました。
これは「裏切り者を検出することは生存に有効だが、裏切り行為が一般化すると裏切りを検出するメリットが減少するということ」を意味しています。
例えば、1クラス40人の学級で誰か1人がカンニングをしたとします。
このような状況ではカンニングをした人を覚えておくことは有効な戦略と言えます。
仲間同士でその人の情報を共有し仲間内から排斥したり、先生に報告することが裏切り者に出し抜かれない方法になるからです。
しかし、20人や30人がカンニングをし始めると、裏切り者を検出し、その人を覚えていたとしても意味がありません。
仲間同士で共有しようにも、彼らもカンニングをしているのです。
先生に報告したとしても、大事なコミュニティ(友人)を失ってしまいます。
私たちの生存に多かれ少なかれコミュニティが必要なことを考えると、多くの人が裏切り行為をする場合は彼らを覚えていても意味はないということです。
参考文献:
Barclay, P. (2008). Enhanced recognition of defectors depends on their rarity. Cognition, 107(3), 817-828.
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