陰謀論とエラー管理理論
アメリカ人の半数は少なくとも1つの陰謀論を信じている
他者が自分に対して悪意ある企てをしていると信じることは、実際に陰謀の危険性がある時にその陰謀に気付かないよりはコストがかからないので、ヒトは陰謀論を簡単に信じてしまうということ
新型コロナが蔓延し始めた時から、日本でも陰謀論の話をSNS上で頻繁に目にするようになりました。
陰謀論と聞くと、私たちは「信じちゃう人はバカだ」とか「科学リテラシーが無い」とか考えてしまいがちですが、進化心理学的にはどうなんでしょうか?
2014年の研究から、「アメリカ人の半数は少なくとも1つの陰謀論を信じている」ことがわかりました。
これは他人事では無いことが別の研究からもわかっています。
「他者が自分に対して悪意ある企てをしていると信じることは、実際に陰謀の危険性がある時にその陰謀に気付かないよりはコストがかからないので、ヒトは陰謀論を簡単に信じてしまう」ということを覚えておくことが大切かもしれません。
迷信はなぜ生まれるの?でもエラー管理理論は紹介しましたが、ヒトの判断には状況に応じてバイアスがかかることが指摘されています。
陰謀論を信じてしまうことが副産物なのか適応的なのかということはさまざまな議論がありますが、少なくともエラー管理理論の観点からは偽陰性(実際には陰謀があるのに陰謀論を信じない)のコストが偽陽性(実際には陰謀が無いのに陰謀論を信じること)のコストを上回る時にはヒトはコストを減らす為に偽陽性の判断や行動を取るということです。
皆さんも、陰謀論信じてませんか?
参考文献:
Oliver, J. E., & Wood, T. J. (2014). Conspiracy theories and the paranoid style (s) of mass opinion. American Journal of Political Science, 58(4), 952-966.
van Prooijen, J.-W., & van Vugt, M. (2018). Conspiracy Theories: Evolved Functions and Psychological Mechanisms. Perspectives on Psychological Science, 13(6), 770–788. https://doi.org/10.1177/1745691618774270
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