閉経前と閉経後の孫への投資
閉経前の女性と比較して、閉経後の女性は孫の世話により多くの時間を費やすことが米国とオーストラリアの大規模な調査より判明
これは、繁殖に寄与しないにも関わらず閉経後の女性が長生きするのは孫を育てることにより包括適応度が上昇する為というおばあさん仮説を支持する結果
皆さんは「おばあさん仮説」を聞いたことがありますか?
おばあさん仮説とは「繁殖に寄与しないにも関わらず閉経後の女性が長生きするのは孫を育てることにより包括適応度が上昇する為」という仮説です。
本来生物は繁殖が終われば死んでしまいますが、ヒトの女性は閉経後にも何十年と長生きします。
自身の繁殖が終わっても、孫を子育てし、孫の生存率が向上すればその女性の包括適応度は上昇するので、おばあちゃんは存在することができるという進化心理学の主張です。
ここで議論になるのは、実際に閉経後の女性は孫の世話を多くするのか?というものです。
2019年の研究では「閉経前の女性と比較して、閉経後の女性は孫の世話により多くの時間を費やすことが米国とオーストラリアの大規模な調査より判明」しました。
これは、アメリカ人7,161人、オーストラリア人25,066人による調査で、文字通り大規模な調査でした。
また、この研究では閉経後の女性が親族に対してケアを行うということは確認されましたが、非親族に向けられる利他的行動とは強く関連していなかったことからも閉経後の女性が長生きする理由を包括適応度の上昇(自分の遺伝子が親族を通して間接的に広まる)に求めることの妥当性を表しているでしょう。
参考文献:
Hofer, M. K., Collins, H. K., Mishra, G. D., & Schaller, M. (2019). Do post-menopausal women provide more care to their kin?: evidence of grandparental caregiving from two large-scale national surveys. Evolution and Human Behavior, 40(4), 355-364.
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