女性が慈悲的性差別を好む理由
敵対的性差別:悪意を持って性差別を行うこと
慈悲的性差別:善意を持って性差別を行うこと
性差別とは読んで字の如く、性別による差別のことです。
例えば、「女性だから昇進させない」のような主張が性差別です。
しかし、「女性の重い荷物は持ってあげるべきだ」という主張はどうでしょうか?
この主張も単に性別に基づいたものであれば、実は性差別に含まれます。
最初の例は敵対的性差別といい、悪意に基づいて行われます。
二番目の例は慈悲的性差別といい、善意に基づいていますが、結果としては性差別になります。
なぜなら、慈悲的性差別は女性から競争力を奪い、男性の手助けを必要とさせるように無意識であれども仕向けるからです。
例えば、「女性は肉体労働なんてしなくていい」という主張は、一見女性に優しい発言に思えますが、仕事の場面においては、女性から肉体労働という職を奪うことに繋がります。
ある研究によると、女性は「慈悲的性差別」を行う男性をより魅力的と感じることがわかっており、これはその女性のフェミニスト度合いに左右されませんでした。
つまり、性差別を是正しようとするフェミニストですら、「慈悲的性差別」は受け入れる傾向があるのです。
これはなぜでしょうか?
女性は妊娠や出産・育児の際に多くの手助けを必要とします。
そんな時、祖先の環境では今でいう「慈悲的性差別者」のような敵から身を守ってくれ、食事を提供してくれる男性はとても心強かったのでしょう。
現代では、女性が社会進出する機会も多くなった為、「慈悲的性差別」のような結果的にでも女性から競争力を奪うような性差別は非難されることもありますが、祖先の環境ではそんなことは問題にならなかったのでしょう。
参考文献;
Glick, P., & Fiske, S. T. (1996). The Ambivalent Sexism Inventory: Differentiating hostile and benevolent sexism.Journal of Personality and Social Psychology, 70(3), 491–512.https://doi.org/10.1037/0022-3514.70.3.491
Gul, P., & Kupfer, T. R. (2019). Benevolent Sexism and Mate Preferences: Why Do Women Prefer Benevolent Men Despite Recognizing That They Can Be Undermining? Personality and Social Psychology Bulletin, 45(1), 146–161. https://doi.org/10.1177/0146167218781000
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