ソシオメーター仮説からわかる自尊心の適応的機能
ヒトは所属欲求を満たす為に自尊心を利用する
自尊心とは「自分にどれだけの価値があるかという感情的評価」です。
なぜ、ヒトは自尊心を持つのでしょうか?
ソシオメーター仮説によれば、ヒトが自尊心を持つのには所属欲求が関係します。
ヒトは進化の過程で社会的な動物になっていきました。
動物の中には社会的でない動物もいますが、ヒトは集団で生活してきました。
過酷な環境の中で助け合ってきたヒトにとっては、グループに所属するかどうかはとても大事なことでした。
グループから外されると(排斥)生存確率が大幅に減少したことでしょう。
つまり、集団に受け入れられる(受容)ことが大切だったのです。
そんな中、ヒトは自尊心を用いて自分が他者に受け入れられているか測っていたようです。
例えば、自尊心が低い場合は「排斥」の危険があるということを知らせており、反対に自尊心が高い場合は「受容」されているということを知らせています。
自尊心は低過ぎても高過ぎても問題があります。
自尊心が低すぎる場合はすぐに反応してしまい、実際には排斥されていないのに、排斥されていると思い込むことに繋がります。
反対に、自尊心が高すぎる場合は、排斥されているのにそれに気づかないという問題があります。
ちなみに、自尊感情には2種類あり、安定的で平均的な自尊感情を「特性的自尊感情」、状況に応じて随時変化する自尊感情を「状態的自尊感情」といいます。
普段から自尊感情が低い人とは「特性的自尊感情」が低いということになります。
ある研究では特性的自尊感情が低い人は嫉妬しやすいことがわかっています。
つまり、自分に自信が持てない(自尊心が低い)ということは、その人にとっては排斥されるかもしれないという不安を抱えている状況ということです。
参考文献;
Leary, M. R., Tambor, E. S., Terdal, S. K., & Downs, D. L. (1995). Self-esteem as an interpersonal monitor: The sociometer hypothesis.Journal of Personality and Social Psychology, 68(3), 518–530.https://doi.org/10.1037/0022-3514.68.3.518
Leary, M. R., Haupt, A. L., Strausser, K. S., & Chokel, J. T. (1998). Calibrating the sociometer: The relationship between interpersonal appraisals and the state self-esteem.Journal of Personality and Social Psychology, 74(5), 1290–1299.https://doi.org/10.1037/0022-3514.74.5.1290
Parker, J. G., Low, C. M., Walker, A. R., & Gamm, B. K. (2005). Friendship Jealousy in Young Adolescents: Individual Differences and Links to Sex, Self-Esteem, Aggression, and Social Adjustment.Developmental Psychology, 41(1), 235–250.https://doi.org/10.1037/0012-1649.41.1.235
Comments