遺伝子の変異と人口増加の関係
73%〜86%の変異は過去5000年に生じた
国連のデータによると、2019年の世界人口は77億人でした。
なぜ、世界の人口はこれほどまでに増加することが出来たのでしょうか?
それは、「文明」が鍵となります。
「文明」が始まるとヒトはさまざまな道具を作り出しました。
メガネ、薬、車、飛行機などなどです。
生み出された道具の中には、生存に役立つものが数多くあります。
メガネや薬などがその例でしょう。
メガネや薬などが存在しなかった祖先の環境では、目が悪い人や病気になった人は生き延びることが出来ないため、そのような遺伝子は淘汰されていきました。
ある研究ではヨーロッパ系アメリカ人とアフリカ系アメリカ人のDNAを調査しました。
その結果、遺伝子の変異の73%は過去5000年(どんなに古くても1万年)の間に生じたようです。
また、病気に関連する遺伝子だけを比較してみると、73%→86%の値に変わります。
つまり、人口がここまで増加できるのは、祖先の環境や他の種では淘汰される人々が「文明」のおかげで生き延びることができるからなのでしょう。
ヒトは自然によって淘汰されるどころか、自然に干渉することで生き延びてきた種なのかもしれません。
参考文献;
United Nations, Department of Economic and Social Affairs, Population Division (2019). World Population Prospects 2019: Highlights (ST/ESA/SER.A/423).
Fu, W., O'Connor, T. D., Jun, G., Kang, H. M., Abecasis, G., Leal, S. M., Gabriel, S., Rieder, M. J., Altshuler, D., Shendure, J., Nickerson, D. A., Bamshad, M. J., NHLBI Exome Sequencing Project, & Akey, J. M. (2013). Analysis of 6,515 exomes reveals the recent origin of most human protein-coding variants.Nature,493(7431), 216–220. https://doi.org/10.1038/nature11690