習性を捨てることの難しさ
ヒヨコは逃げるエサを追い続けた
動物には習性というものがあります。
例えば、ラッコが貝殻を使ってエサを食べるなどです。
さらに、インプリンティング(刻印づけ)という現象が知られており、これはある短期間(臨界期)に学習したことが長い間続くことを言います。
例えば、ひよこが生まれた後に動いている個体を親だと思ってついていくなどです。
このような特殊な学習には臨界期が存在しており、ある特定の期間に学習が成立しなければならないとされています。
つまり、生まれたばかりのひよこが親から一定期間離されると、そのひよこにはインプリンティングが起こらず、親のあとをずっとつけるというようなことをしなくなるということです。
このような動物特有の習性は、生きていく為にとても便利ですが、捨てようと思っても捨てることが難しいのが難点です。
ある実験では、ひよこがエサに近づくほどエサが遠ざかる装置を使って、ひよこがエサを得るためにエサから離れなければならないということを学習できるか調べました。
しかし残念ながら、ひよこはエサを得る為にはエサから遠ざからなければならないということを覚えられませんでした。
つまり、エサに近づけば近づくほどエサを得ることができないという自然界でありえないような事象に対処してこなかったひよこ(ひよこという種族)にとってはこの実験は難しすぎたのでしょう。
参考文献:
Moltz, H. (1963). Imprinting: An epigenetic approach. Psychological Review, 70(2), 123–138. https://doi.org/10.1037/h0044362
Hershberger, W.A. An approach through the looking-glass.Animal Learning & Behavior14,443–451 (1986). https://doi.org/10.3758/BF03200092
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