行動遺伝学の3原則
ヒトの行動特性はすべて遺伝的である
同じ家族で育てられた影響は遺伝子の影響より小さい
複雑なヒトの行動特性のばらつきのかなりの部分が遺伝子や家族では説明できない
上記引用部分は行動遺伝学の3原則と呼ばれるものです。
行動遺伝学とは遺伝的手法を用いてヒトの行動を明らかにしていこうという学問のことです。
ヒトの行動特性(性格や体型など)を決める要素は「遺伝」「共有環境」「非共有環境」の3種類に分けられます。
例えば、同じ家庭で育った一卵性双生児を例にとりましょう。
一卵性双生児は遺伝情報が100%同じです。
さらに、同じ家庭で育つということは共有環境の影響も同じということになります。
しかし、非共有環境の影響(友達や学校など)は異なります。
つまり、同じ遺伝子を持つ一卵性双生児でも共有している環境(家庭)と共有していない環境(友達や学校)があるということです。
行動遺伝学の原則を当てはめると、行動特性は遺伝の影響を必ず受けており、同じ家庭で育つ影響は遺伝子の影響よりも小さく、個人差の大部分は非共有環境によって説明されるということになります。
もちろん、行動特性によって遺伝子の影響が大きいのか共有環境の影響が大きいのか、それとも非共有環境の影響が大きいのかは異なりますが、基本的には共有環境の影響は小さいということになります。
参考文献:
Turkheimer, E. (2000). Three Laws of Behavior Genetics and What They Mean. Current Directions in Psychological Science, 9(5), 160–164. https://doi.org/10.1111/1467-8721.00084
安藤寿康. (2017). 行動の遺伝学-ふたご研究のエビデンスから.日本生理人類学会誌,22(2), 107-112.