無性生殖と有性生殖
オスとメスの存在はオス同士の競争を加速させ、より良い遺伝子を持つ個体がメスによって選ばれることを可能にする
生殖には無性生殖と有性生殖があります。
無性生殖は1個体の分裂により数を増やすことができますが、有性生殖は2個体の遺伝子情報が必要です。
つまり、有性生殖は無性生殖に比べてコストがかかるのです。
単純に種の数を増やすのなら無性生殖の方が有利です。
ではなぜコストのかかる有性生殖が多くの種で見られるのでしょうか?
それには性淘汰が関連してきます。
オスとメスが存在する種では性淘汰(異性をめぐる競争)が起こります。
性淘汰が起きる種では基本的に男性同士の争いが加速し、女性がより良い遺伝子を持つ個体を選択します。
つまり、性淘汰の起きない無性生殖では環境の変化に耐えることが難しいのです。
これは研究によっても確かめられており、多くのオス同士が争う集団では有害な変異が誕生しても生き残りやすいことがわかっています。
無性生殖は遺伝的多様性を保てない代わりにコストがかからず、有性生殖はコストがかかる代わりに遺伝的多様性を保てるということでしょう。
参考文献:
Lumley, A., Michalczyk, Ł., Kitson, J.et al.Sexual selection protects against extinction.Nature522,470–473 (2015). https://doi.org/10.1038/nature14419