痛みの男女差
メタ分析によると、男性は女性よりも痛みの閾値も耐性も高いことが判明
性差は痛みの耐性の方が大きい
女性は男性よりも痛みに敏感に反応し、痛みに弱いということ
「男は痛がりだ!」という話を聞くことがありますが、実際にはどうなのでしょうか?
確かに、妊娠や出産を乗り越える母を考えると女性の強さは容易にイメージできるでしょう。
しかし反対に、ボクシングや格闘技などのスポーツで男性が痛みに耐えている様子もよく知られています。
研究の基礎的な話になりますが、個々の研究では結果がバラバラになることがよくあります。
そんな時に、多くの研究をまとめて分析し、総合的な判断を下すのがメタ分析になります。
そんなメタ分析の結果を見てみましょう。
1998年のメタ分析によると、「男性は女性よりも痛みの閾値も耐性も高い」ことが判明しました。
さらに、この性差は痛みの耐性の方が大きかったのです。
この結果のまとめから言えることは、「女性は男性よりも痛みに敏感に反応し、痛みに弱い」ということです。
女性の体が男性よりも使い捨て的でないというようなことを考えると、進化の淘汰圧が男性と女性で痛みの閾値と耐性が異なる方向に働く理由がわかるでしょう(女性は痛みを積極的に避けることが適応的だが、男性は痛みを避けるだけでは女性に選ばれないということ)。
参考文献:
Riley III, J. L., Robinson, M. E., Wise, E. A., Myers, C. D., & Fillingim, R. B. (1998). Sex differences in the perception of noxious experimental stimuli: a meta-analysis. Pain, 74(2-3), 181-187.
Roberts, M. L., Buchanan, K. L., & Evans, M. R. (2004). Testing the immunocompetence handicap hypothesis: a review of the evidence. Animal behaviour, 68(2), 227-239.