乳児の足し算と引き算
"1+1"グループでは乳児は対象物を1つから2つに追加したにも関わらず対象物が1つしかない場合に長く見つめ、"2-1"グループでは対象物を2つから1つ取ったにも関わらず対象物が2つある場合に長く見つめた(期待と外れると長く見つめる)
この実験から生後5ヶ月の乳児でも簡単な足し算と引き算ができることが判明
赤ちゃんの研究はなかなかうまくいかないことがあります。
質問をしても答えてくれるわけではないというのはもちろんのこと、どう反応すればこちらが測りたいものが測れているのか判断するのも難しいものです。
ここでは注視時間を指標にした研究を紹介します。
注視時間とはどれだけ刺激を見つめていたかで計測します。
乳児でも簡単な足し算と引き算ができるのか?ということについて考えてみましょう。
1992年に行われた研究では、生後5ヶ月の乳児を2つのグループに分けました。
"1+1"グループと"2-1"グループです。
「"1+1"グループでは乳児は対象物を1つから2つに追加したにも関わらず対象物が1つしかない場合に長く見つめ、"2-1"グループでは対象物を2つから1つ取ったにも関わらず対象物が2つある場合に長く見つめた」のです。
この実験から生後5ヶ月の乳児でも簡単な足し算と引き算ができることが判明しました。
補足ですが、なぜ長く見つめることがこの実験では大切だったのでしょうか?
注視時間が長いということは“期待”が外れていることを意味するからです。
つまり、"1+1=2"であるはずなのに、"1+1=1"を刺激提示された乳児はビックリした結果長く見つめたというわけです。
同じことは"2-1"のグループでも言えます。
この研究は簡単な計算能力であれば生得的に備わっていることを示す重要な研究でしょう。
参考文献:
Wynn, K. (1992). Addition and subtraction by human infants. Nature, 358(6389), 749-750.