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幼少期の貧しさと肥満

生活史戦略と肥満の関係


幼少期の環境の予測不可能性への曝露 (低い社会経済的地位に共通する特徴) は衝動性と短期目標への集中を特徴とする早い生活史戦略と関連する
早い戦略は不十分な体重管理行動(つまり、空腹時以外での食事)と関連し、これは高いBMIや肥満と関連する

大人になってもなかなか子どもの頃の貧乏性が抜けないことがあります。


使い捨てマスクを繰り返し使用したり、買った物がなかなか捨てられないなどです。


子どもの頃の環境の影響とは大人になっても続くものだというそんなお話の紹介です。


進化心理学を支える理論の1つとして、生活史理論というものがあります。


端的に言えば、個体が自分の人生に多く投資をする(K戦略:遅い戦略)のか、次世代への投資を多く行うのか(r戦略:早い戦略)という決定がさまざまな要因(ストレスなど)によって決まるというものです。


元々は異なる種を比較する概念でした(ネズミなどの多産で寿命が短い生物はr戦略で、ゾウなどの少産で寿命が長い生物はK戦略など)が、進化心理学では個人差を説明する概念として用いられます。


2017年の研究では「幼少期の環境の予測不可能性への曝露 (低い社会経済的地位に共通する特徴) は衝動性と短期目標への集中を特徴とする早い生活史戦略と関連する」ことがわかりました。


さらに「早い戦略は不十分な体重管理行動(つまり、空腹時以外での食事)と関連し、これは高いBMIや肥満と関連する」のです。


つまり、幼少期に貧しい(環境が不安定でストレスがかかる)経験をすることは、自分の人生より子どもに多く投資する早い戦略に移行することを意味します。


これは自分の寿命を短く設定する(子への投資を多く行うということは自分への投資の減少を意味する)ということなので、衝動性も高まりますし、長期的な目標を目指す必要もなくなるので短期目標を目指すようになるというわけです。


そのような状態では目の前の食事を制限することも難しく、空腹時以外でも積極的に食事をしてしまうのです(これが高いBMIや肥満につながる)。


幼少期の経験とはとても大事なものなのです。


参考文献:


Maner, J. K., Dittmann, A., Meltzer, A. L., & McNulty, J. K. (2017). Implications of life-history strategies for obesity. Proceedings of the National Academy of Sciences, 114(32), 8517-8522.

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