包括適応度から分析する異母きょうだいの関係性
異母きょうだいにはお金をあげたり、子守を頼んだりしない
父親も母親も同じであるきょうだいと父親は同じだが母親が違うという異母きょうだいは協力行動などに差が出るのでしょうか?
ある研究では、同父同母のきょうだいと同父異母のきょうだいがどれだけ関わり合いを持つかを調べました。
すると、同父同母のきょうだいは同父異母のきょうだいに比べてお金をあげたり、子守を頼んだりする確率が高かったのです。
これはなぜでしょうか?
「同父同母のきょうだいは同じ家庭で育つので同父異母のきょうだいより協力行動が当たり前になる」という予測は鋭いですが、正しくありません。
この研究に参加した人々は32の一夫多妻制家族でした。
つまり、きょうだいは母親が同じでも異なっても共に暮らしているわけです。
そこで登場するのが包括適応度の理論です。
両親が同じきょうだいは遺伝子を50%共有していますが、異母きょうだいは遺伝子の共有率が25%です。
つまり、両親が同じきょうだいの方がよりお互いを助けるだろう(自分の遺伝子をより多く残す為に)という包括適応度の予測が見事当てはまるわけです。
参考文献:
Jankowiak, W., & Diderich, M. (2000). Sibling solidarity in a polygamous community in the USA: Unpacking inclusive fitness.Evolution and Human Behavior, 21(2), 125–139.https://doi.org/10.1016/S1090-5138(00)00027-1