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セクハラの加害者と被害者の共通点

加害者にも被害者にもなり得る短期的配偶戦略を求める人


短期的配偶戦略を求める人は相手が同じように短期的配偶戦略を求めるか知るためにセクハラになりうる行動をとる
短期的配偶戦略を求める人の"シグナル"が意図しない相手に向けられた場合、セクハラを受けることがある

セクハラとは性的嫌がらせのことで、被害者の声がニュースなどのさまざまなメディアで取り上げられることにより世の中に広く知られることとなりました。


一般常識的に言えば、加害者は悪い人で、被害者にはなんの罪もないと思いがちですが、進化心理学の観点からは加害者と被害者に関しては共通する部分もあるようです(もちろん、なんの罪もない被害者が悪意のある加害者によりセクハラを受けることはあります)。


それは、「短期的配偶戦略を求める人」は加害者にも被害者にもなりやすいという事実です。


配偶戦略(パートナーを獲得するという戦略)には2種類あります。


短期的配偶戦略とはより多くのパートナーを見つける戦略です。


長期的配偶戦略とは同じパートナーと長期的な関係を結ぶ戦略です。


どちらの戦略にもメリット・デメリットがあります。


短期的配偶戦略を求める人がセクハラの加害者になる場合はどんな時でしょうか?

  1. 短期的配偶戦略を求める人は相手が同じように短期的配偶戦略を求めるか判断したい

  2. そのような状況では、相手に対して"シグナル"を出す(例:相手の外見を褒める)

  3. この"シグナル"が相手によってはセクハラになる

反対に、短期的配偶戦略を求める人がセクハラの被害者になる場合は以下の時です。

  1. 短期的配偶戦略を求める人は相手が同じように短期的配偶戦略を求めるか判断したい

  2. そのような状況では、相手に対して"シグナル"を出す(例:相手の外見を褒める)

  3. この"シグナル"が意図しない相手に好意的に取られる

  4. 相手がセクハラをしてくる

これらのシナリオでは、どちらも短期的配偶戦略を求める人が最初に"シグナル"を出しています。


これは、シグナルを出した方が、手っ取り早く相手の配偶戦略を見極められるからでしょう。


お互いが同じ配偶戦略で、お互いを魅力的だと判断するのなら問題ないのですが、配偶戦略が異なる場合や配偶戦略が同じでも、一方にとって他方が魅力的でない場合は"シグナル"がセクハラと判断されたり、セクハラを受けたりすることになります。


つまり、短期的配偶戦略を求める人はセクハラの加害者にもなりやすく、被害者にもなりやすいということです。


これを確かめた研究では、男女ともにこのシナリオに当てはまっていたので、男性も女性も(短期的配偶戦略を求めるのなら)シグナルは最低限に、意図しない相手には向けない、ということに注意が必要です。


参考文献:


Perilloux C., Cloud J.M. (2016) Preferences in Long- Versus Short-Term Mating. In: Weekes-Shackelford V., Shackelford T., Weekes-Shackelford V. (eds) Encyclopedia of Evolutionary Psychological Science. Springer, Cham


Kennair, L. E., & Bendixen, M. (2012). Sociosexuality as predictor of sexual harassment and coercion in female and male high school students. Evolution and Human Behavior, 33(5), 479-490. doi:10.1016/j.evolhumbehav.2012.01.001

*全ての記事は科学的な知見に基づくものであり、一部の人に不利になるような思想を助長させるものではありません。

*全ての記事の内容は新たな知見等により、多少の修正が必要な場合や正反対の見解が正しいとされる場合もあります。

​*全ての記事は正確さの担保の為に、出来るだけ多くの引用や参考文献を紹介しますが、最終的な正確さの判断はご自身でなさってください。

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