侮辱と包括適応度
血縁者に対しての悪口により反応する
突然ですが、こんなシチュエーションを想像してみてください。
BさんがAさんの文句を言っています。
その文句に対して反応しますか?
当たり前ですが、Aさんが誰かということが文句に対して反応するかどうかを左右すると思います。
もちろん、Aさんが赤の他人であれば、反応する必要はありませんが友人であれば話は別かもしれません。
しかし、文句を言われているAさんが実は親族だったらどうでしょうか?
多くの人が即座に反論するか少なくとも嫌な気持ちになるのではないでしょうか?
これはなぜか、包括適応度の観点から考えてみましょう。
Aさんが友人である場合や赤の他人である場合、Aさんに対する文句はAさんの適応度を減少させます。
しかし、自分への影響はあまり無いため、即座に反応するというわけではありません(Aさんを助けてもメリットが無いかもしれない)。
Aさんが血縁者である場合はどうでしょうか?
この場合、Aさんへの文句はAさんの適応度を減少させますが、これは結果として自分に影響を及ぼします。
なぜなら、Aさんの子孫は自分の遺伝子も共有しているからです。
この予測が正しいことは研究でもこれは確かめられており、人は非血縁者より血縁者の悪口に対してより敏感に反応するということがわかっています。
つまり、血縁者への文句は自分への文句と同義ということです。
参考文献:
Gesselman, A. N., & Webster, G. D. (2012). Inclusive fitness affects both prosocial and antisocial behavior: target gender and insult domain moderate the link between genetic relatedness and aggression.Evolutionary psychology : an international journal of evolutionary approaches to psychology and behavior,10(4), 750–761.