トリヴァース・ウィラード仮説と女性の職業
16,384件の出産データセット(ケンブリッジ)から女性の職業と子どもの性比の関係を調べた2010年の研究
"高ストレス"に分類される職種の女性は娘を出産する可能性が高いが、"低ストレス"に分類される職種の女性は子どもの性比が同等であったか、わずかに息子に偏っていた(トリヴァース・ウィラード仮説を支持)
トリヴァース・ウィラード仮説は、状態の悪い母親が親の投資を娘に偏らせるということを予測していますが、それは出生時性比を指す場合もあれば、出生後投資を指す場合もあります(研究によって、扱う従属変数も異なれば、独立変数も異なります)。
心理学の研究の面白いところは、同じ理論や仮説であっても、様々な観点から検討を行うという点だと思います。
今回は、16,384件の出産データセット(イギリス)から女性の職業と子どもの性比の関係を調べた2010年の研究を見てみましょう。
この研究では、「状態の悪い母親」というのを「高ストレスと分類される職業についている女性」と考え、出生時性比について検討を行いました。
その結果。"高ストレス"に分類される職種の女性は娘を出産する可能性が高いが、"低ストレス"に分類される職種の女性は子どもの性比が同等であったか、わずかに息子に偏っていたことがわかりました。
この研究からは、トリヴァース・ウィラード仮説は支持されたというわけです。
「専業主婦」を高ストレスと分類するかどうかについても検討が行われているので、気になる方は参考文献をご確認ください。
参考文献:
Ruckstuhl, K. E., Colijn, G. P., Amiot, V., & Vinish, E. (2010). Mother's occupation and sex ratio at birth. BMC Public Health, 10, 1-11.
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