支配と名声
地位の高い人は貴重な情報を持っている
地位の高い人はどのような人でしょうか?
会社であれば上司、社会的には国会議員などが例として挙げられるでしょう。
では、なぜ地位の高い・低いが生まれるのでしょうか?
進化心理学では地位の高さを決める際に2種類の異なる要因が存在すると指摘します。
1つ目の要因は支配です。
これは、暴力などを用いて地位を高めるという方法であり、祖先の環境では非常に有効な手段だったでしょう。
現代でも、学校のような環境では暴力的な生徒が高い地位につくということが想像しやすいと思います。
2つ目の要因は名声です。
名声を得られる人、つまり他者から称賛される人は高い地位につきやすいということです。
先述した会社の上司や国会議員などのことです。
では、名声を得られる人 or 得られない人の違いはなんでしょうか?
どうやら"情報"が鍵となるようです。
会社の上司や国会議員などは地位の低い人々にとってアクセス不可能な情報を持ちます。
これは狩猟採集民族などの現代文明とかけ離れた生活をしている民族にも共通のことです。
例えば、ボリビアに住む先住民族チマネ族では食糧生産技術が高い人は尊敬されます。
技術が高いということは、その技術を行うだけのスキルがあると同時に、"やり方"を知っているということです。
本やインターネットが無い時代や環境では、他者を真似ることが生存に関して非常に重要なスキルになるので、"やり方"を知っている人に近づきたくなるわけです。
つまり、暴力による支配という点では現代文明と祖先の環境では大きく異なる部分がありますが、限られた情報を持つ or アクセスできる人が高い地位につくという点では共通点が多いのかもしれません。
参考文献:
Henrich, J., & Gil-White, F. J. (2001). The evolution of prestige: Freely conferred deference as a mechanism for enhancing the benefits of cultural transmission.Evolution and Human Behavior, 22(3), 165–196. https://doi.org/10.1016/S1090-5138(00)00071-4
VON Rueden, C., Gurven, M., & Kaplan, H. (2008). The multiple dimensions of male social status in an Amazonian society.Evolution and human behavior : official journal of the Human Behavior and Evolution Society,29(6), 402–415. https://doi.org/10.1016/j.evolhumbehav.2008.05.001