男女の繁殖に関するコストの違いとセクハラ
繁殖に関して、女性は男性よりもリスクを抱える
平成26年度に都道府県労働局雇用均等室に寄せられたセクシュアル・ハラスメントの相談件数は1万1,289件でした。
そのうち、男性労働者からの相談は618件、女性労働者からの相談は6,725件でした。
なぜこれほどの差があるのでしょうか?
基本的にはセクハラの加害者が男性・被害者が女性ということが大きな原因でしょう。
しかし、別の見方をすると女性の方がセクハラを嫌がるためにこのような差が生まれているのかもしれません。
女性がセクハラを嫌がる理由は繁殖に関するコストの差で説明できます。
繁殖に関しては、女性の方がはるかに多くのコストを支払わねばなりません。
卵子の用意、妊娠、出産時の苦痛など女性は多くのエネルギーと時間をかけて子どもを産みます。
しかし、男性は精子を提供するだけで済んでしまいます。
さらに、閉経のことも考えると女性は男性よりも慎重に配偶相手を選ばねばなりません。
つまり、女性にとってはセクハラを受けるということは大きなコストを支払う可能性を意味するのです(好みでない相手の子を産まなければならない)。
反対に、男性がセクハラを受けた場合はあまり支払うコストがなく、生物学的にはむしろ得なのかもしれません(子どもを育てなくても良いのなら)。
実際、女性は男性がセクハラでないと判断するような行動もセクハラだと判断しやすいことがわかっています。
セクハラと間違われないために、男性は特に注意しなければならないということでしょう。
参考文献:
都道府県労働局雇用均等室に寄せられた職場におけるセクシュアル・ハラスメントの相談件数:http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h27/zentai/html/zuhyo/zuhyo01-04-14.html
Ménard, K. S., Hall, G. C. N., Phung, A. H., Ghebrial, M. F. E., & Martin, L. (2003). Gender Differences in Sexual Harassment and Coercion in College Students: Developmental, Individual, and Situational Determinants. Journal of Interpersonal Violence, 18(10), 1222–1239. https://doi.org/10.1177/0886260503256654
Clutton-Brock, T. H., & Vincent, A. C. (1991). Sexual selection and the potential reproductive rates of males and females.Nature, 351(6321), 58–60. https://doi.org/10.1038/351058a0
Rotundo, M., Nguyen, D.-H., & Sackett, P. R. (2001). A meta-analytic review of gender differences in perceptions of sexual harassment. Journal of Applied Psychology, 86(5), 914–922. https://doi.org/10.1037/0021-9010.86.5.914
Comments