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コストのかかるチャリティ活動

  • 執筆者の写真: 日本進化心理学IHAセンター
    日本進化心理学IHAセンター
  • 2021年10月11日
  • 読了時間: 2分

匿名かそうでないかとチャリティ活動への参加率


慈善団体が7つの異なる支援を求めた場合、匿名条件だとコストが低い支援(例:血圧測定)ほど受け入れられやすく、パブリックな状況だとコストが高い支援(例:知的障害がある子どもへの支援)ほど受け入れられやすいことが判明
寛大さは人前でのコストのかかる行動によりアピールできるということ

街中で突然声をかけられ、慈善団体へのボランティアを求められた際、どのように人々は反応するのでしょうか?


コストがかからない支援ほど受け入れられるのでしょうか?もしくはコストがかかる支援ほど好まれるのでしょうか?


また、それが匿名かパブリックかでどのような影響があるのでしょうか?


実際に、これを確かめた2010年の研究があります。


この実験によると、慈善団体が7つの異なる支援を求めた場合、匿名だとコストが低い支援(例:血圧測定)ほど受け入れられやすく、パブリックな状況だとコストが高い支援(例:知的障害がある子どもへの支援)ほど受け入れられやすいことが判明しました。


寛大さは人前でのコストのかかる行動によりアピールできるということです。


これは、進化心理学ではCostly Signaling Theory(CST)と呼ばれているものです。


つまり、他者に自分の有益さを認めてもらう為には偽りのない(正直な)信号を発する必要があるわけです。


ここで重要なのは、「私は他者をいつでも助けます!」というのは偽りのシグナルになる可能性を秘めている(コストが低いので)ので、「実際に他者の為に時間やエネルギーを使う人」という正直なシグナルを発する人が好まれるわけです。


コストのかかる行動をするのは他者に寛大さをアピールする為と考えると、パブリック条件でコストのかかる支援の意図が増加する理由も説明がつきます。


私たちが「他者を助けたい」と思うのは、単にそれが魅力的なのではなく、背後にあるメリット(評判の上昇など)が魅力的だからなのです。


参考文献:


Bereczkei, T., Birkas, B., & Kerekes, Z. (2010). Altruism towards strangers in need: costly signaling in an industrial society. Evolution and Human Behavior, 31(2), 95-103.


Hawkes, K., & Bliege Bird, R. (2002). Showing off, handicap signaling, and the evolution of men's work. Evolutionary Anthropology: Issues, News, and Reviews: Issues, News, and Reviews, 11(2), 58-67.

 
 

*全ての記事は科学的な知見に基づくものであり、一部の人に不利になるような思想を助長させるものではありません。

*全ての記事の内容は新たな知見等により、多少の修正が必要な場合や正反対の見解が正しいとされる場合もあります。

​*全ての記事は正確さの担保の為に、出来るだけ多くの引用や参考文献を紹介しますが、最終的な正確さの判断はご自身でなさってください。

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