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産後うつは"助けて"のサイン

産後うつと子どもを育てるコストと利益


親は子どもを育てるコストと利益を天秤にかける
産後うつはコストが利益を上回っているサイン

産後うつとは産後に経験される極端な気分の低下などを特徴とする状態のことです。


生物学的には、ホルモンバランスの変化などが原因とされますが、進化心理学的には興味深い知見が数多く報告されています。


中には、産後うつは配偶者からの投資を引き出す為の戦略という考え方も存在します。


親は子どもを育てるコストと利益を天秤にかけなければいけません。


なぜなら、あくまでも生物としての親の目的は子どもを育てることではなく、遺伝子を次の世代に残すことなので、子どもが生まれたら無条件で育てるというわけにはいきません。


例えば、不健康な子どもを育てることは将来産み育てる可能性のある健康的な子どもを犠牲にします。


子どもを育てることをやめるべきという合図が産後うつなのです。


子育てに関しては一方の親の投資は他方の親の投資と負の相関関係があることがわかっており(母親(もしくは父親)の投資が増えると、父親(もしくは母親)の投資が減るということ)、産後うつを発症することはもう一方の配偶者からの投資を引き出すこともわかっています。


産後うつを引き起こすさまざまな要因(貧困や社会的サポートの不足など)は子どもを育てるコストに寄与します。


高齢女性が産後うつを引き起こしにくいという研究結果は子どもを育てる数少ないチャンス(利益)がコストを上回りやすいということを示しているのでしょう。


産後うつが配偶者からの投資を引き出すという点で適応的かどうかはさまざまな議論がありますが、子育てに関して負担がかかっているサインということは明らかでしょう。


産後うつで苦しんでいる人がいたら、よくあることとは考えずに、積極的に手助けをしてみてはどうでしょうか?


参考文献:


Scarff J. R. (2019). Postpartum Depression in Men.Innovations in clinical neuroscience,16(5-6), 11–14.


Yim, I. S., Tanner Stapleton, L. R., Guardino, C. M., Hahn-Holbrook, J., & Dunkel Schetter, C. (2015). Biological and psychosocial predictors of postpartum depression: systematic review and call for integration.Annual review of clinical psychology,11, 99–137. https://doi.org/10.1146/annurev-clinpsy-101414-020426


Dolbier, C. L., Rush, T. E., Sahadeo, L. S., Shaffer, M. L., Thorp, J., & Community Child Health Network Investigators (2013). Relationships of race and socioeconomic status to postpartum depressive symptoms in rural African American and non-Hispanic white women.Maternal and child health journal,17(7), 1277–1287. https://doi.org/10.1007/s10995-012-1123-7


Hagen, E. H. (2002). Depression as bargaining: The case postpartum.Evolution and Human Behavior, 23(5), 323–336. https://doi.org/10.1016/S1090-5138(01)00102-7

*全ての記事は科学的な知見に基づくものであり、一部の人に不利になるような思想を助長させるものではありません。

*全ての記事の内容は新たな知見等により、多少の修正が必要な場合や正反対の見解が正しいとされる場合もあります。

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