対称性の変化と魅力の知覚
動画の中で話している時に、全体的に顔の対称性が高まったように見える場合、その人物は静止画よりも魅力的であると評価された
話している時の顔の対称性が低いと知覚された人物は静止画よりも動画のほうが魅力的でないと評価された
パッと見イケメンだと思った男性や美しいと思った女性が、いざ話し出してみると思っていたより(話し方や内容ではなく、単に顔に関して)魅力的でないと感じることがあります。
この現象は進化心理学ではどう説明されるのでしょうか?
実は、顔の魅力を調べる際に用いられる刺激は静止画が多く、現実場面との乖離が見られます(他者はずっと止まっているわけではない)。
2018年の研究は、この問題点を修正すべく魅力の判断が静止画と動画でどのように変わるのかを調べました。
重要な点が2つあります。
まず、動画の中で話している時に、全体的に顔の対称性が高まったように見える場合、その人物は静止画よりも魅力的であると評価されました。
また、話しているときの顔の動きの対称性が低いと知覚された人物は静止画よりも動画のほうが魅力的でないと評価されました。
この結果から、静止画であっても、動画であっても、他者の魅力が高いと評価されるのは対称性が高い人物の場合だということがわかります。
話した相手が魅力的でないと感じるのは、顔の対称性が崩れてしまったからなのかもしれません。
参考文献:
Hughes, S. M., & Aung, T. (2018). Symmetry in motion: Perception of attractiveness changes with facial movement. Journal of Nonverbal Behavior, 42(3), 267-283.