子どものパフォーマンスと競争意欲の性差
3歳から18歳までの合計1,570人の参加者を対象に競争意欲の性差を調べた2015年の研究
3つの異なる課題において、女子の成績が男子を下回ることはなかったが、報酬の受け取り方法において男子は競争的な受け取り方法を希望する可能性が高かった
幼稚園の段階で既に見られる競争意欲の性差は思春期を通じて安定的に見られた
例えば、ある競技(将棋やチェス)において男性の方が女性よりもプロの人数が多いとしましょう。
これは、何を意味しているのでしょうか?
真っ先に思いつくのは、男性の方が女性よりもそれらの競技において優れた成績を収めることができる、つまり能力の違いが人数の違いを生み出すというものかもしれません。
それはそれで、進化心理学的には興味深いものがあります。
能力の性差を生み出す要因はなんなのでしょうか?言い換えるのであれば、どのような進化の圧力がその競技に関連する能力の性差を生み出したのでしょうか?
もちろん、これは一方の性が"優れている"とか"劣っている"という話ではありません。
しかし、もう一つ面白い可能性があります。それは、冒頭のような人数の偏りを生み出すのは能力の性差ではなく、意欲の性差ではないか?というものです。
どういうことか、まずは先行研究から見てみましょう。
3歳から18歳までの合計1,570人の参加者を対象に競争意欲の性差を調べた2015年の研究では、3つの異なる課題において、女子の成績が男子を下回ることはなかったが、報酬の受け取り方法において男子は競争的な受け取り方法を希望する可能性が高かったことがわかりました。
また、幼稚園の段階で既に見られる競争意欲の性差は思春期を通じて安定的に見られました。
この研究からわかるように、たとえ能力に性差がなくても競争意欲には性差が確認できるので、競争的な環境(例えばトーナメントや昇級を用いる競技)であれば男性の方が人数が多くなる可能性は十分にあるというわけです。
参考文献:
Sutter, M., & Glätzle-Rützler, D. (2015). Gender differences in the willingness to compete emerge early in life and persist. Management Science, 61(10), 2339-2354.
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